スポンジひとつで、アメリカで有名なスポンジブランドとなったスクラブダディー。今では全米4万か所以上の場所で売られていているスポンジとなり、年間売上1億7千万ドル(約200億円弱)まで急成長しました。
そんなヒット商品を生み出した、創業者の商品開発における思考の流れを振り返り、アメリカでヒットした理由を追っていきたいと思います。
スクラブダディーを生み出した、創業者のアーロン・クラウス(Aaron Krause)がどのようにしてこのような笑顔の形にたどり着いたのか追っていきたいと思います。
アーロン氏が最初に行っていたビジネス
創業者のアーロン氏は、ペンシルベニア州に本拠地を置き、1992年から2008年までバプ研磨や研磨用パッドなど塗装面の仕上げ用の製品を販売する会社の最高経営責任者でした。
その会社のお客様は、ボディーショップなど自動車整備工場が多く、そこで働いている人たちの動きを見る事が多かったです。
作業している人の手についたオイルやグリースは、一般的な石鹸で洗ってもなかなか落ちません。油を落とすためには、石鹸の中に研磨剤のような小さな粒が入っている、油落とし専用の石鹸があります。固形タイプ以外にも液体タイプがあります。
この石鹸で手の皮膚表面を擦りますが、ザラザラした石で磨いているようで、気持ちいいものではありません。
アーロン氏は、そのような状況を日常で目にすることが多く、ずっと観察している内に、何か解決できないかと考え出しました。
そこで、手に付いた油汚れ落とし専用のスポンジを開発しました。それが、今のスクラブダディーの素材となりました。
かわいい!という単純な考えでこの形になったのではない
自動車整備などの市場では、このスポンジはなかなか受け入れられませんでした。これは決して市場にあっていなかったわけではないと思います。
広げるための宣伝活動など、全米に広げるための広告宣伝活動は、中小企業にとっては厳しいものです。その広告宣伝活動をカバーするほどのインパクトは、この市場には無かったのでしょう。
言い換えると、この市場にとって無くてはならない商品ではないということです。
3年後、このスポンジをアーロン氏が家で使う機会があり、家庭用スポンジとして使ってみたところ、「この市場に合う!」と直感で感じました。
そこで、アーロン氏の思考の特徴のひとつで、「周りをじっと観察する」ということをしました。
キッチン周りを見回すと、お皿もコップもお椀も、円形のものが多いと感じました。
円形の物を洗うには、円形のスポンジが良い!!
さらに、円形のコップの中を、円形のスポンジで洗うには、スポンジを掴みにくいと考え、指でグリップできる目をつけました。
まだまだ観察は終わらない・・・
丸いスポンジと、丸い目のスポンジの案で良さそうなものが、アーロン氏はまだまだ納得しませんでした。
キッチンをずっと見まわし、もっと深く観察すると、ヘラやスプーンやフォークの数の割合が多いことが見え、シンクの中での体積割合は少ないかもしれませんが数は多いです。
そこで、それを洗いやすい切れ目の口を加えました。
それが、今のスクラブダディーの形となりました。
周りに答えが潜んでいる。
じっと街中を見て分析したり、いつもの通勤風景を見て分析したり、家の中を観察したり、周りには様々なヒントが溢れてます。
目や耳や鼻や舌や皮膚のセンサーを過敏にして、脳の動きを高めると、お客様に役立つ商品が開発できて、全米に広がる商品ができるかもしれません。
かわいいから売れる!というだけの狙いだったら、市場から飽きられたかもしれません。
5年以上経っても売り上げが伸びている理由は、観察して考えられた商品だからかもしれません。
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