日本でビジネスするより難しいアメリカ進出を失敗させないための理由とは
文化の異なる国でビジネスをするには様々な課題を乗り越えなければなりません。
比較的ビジネスしやすい米国でも同じです。
その様々な課題を乗り越え続けるためには、進出する意味を自分に問い、理由を明確にしておかなければ、道半ばにして撤退となりかねません。
目指すゴールが不明確ですと、向かう方向がわからなく彷徨います。
山登りに例えると登るべき山の頂が目的となります。
これが米国進出の目的となります。
道の途中におかれている標(しるべ)は目標です。
山の頂である的(マト)を目指して、そこに達するため日々活動を続けるためには、何か理由が必要です。
そして、この理由が不明確ですと米国ビジネスは失敗します。
米国進出される本当の理由とは何か?
■日本経済の低迷から海外への活路を見出すという理由
米国という経済大国に進出する企業において、最も多い理由は日本経済が低迷していることや、将来国内人口が減るため海外に進出しなければならないということではないでしょうか。
このことを理由にして米国進出を失敗している企業の中に、日本国内で売上が低迷しているのことを景気や人口減少ということだけを理由にしているため、本当の原因が見えていないことから対策が間違っている可能性があります。
確かに国内の経済が低迷している事は原因の一部ではありますが、本当にそれだけなのでしょうか。
①国内家計の資産残高推移
内閣府の平成26年度国民経済計算確報(平成28年1月15日発表)では、日本国内の家計資産残高は緩やかではありますが上昇傾向になってます。
当たり前ですが、貯蓄が増えてお金が国内に回らないことから景気が悪いということになりますが、日本にはお金が無いということではなく、国民はお金を持ったまま日本が低迷し沈みゆくのではというイメージを抱き続ける不思議な国民という見方もできます。
金融資産は3年連続で増加し、その額は370兆円あります。これは日本の製品を輸出して販売している輸出総額77兆円をはるかに超えます。
文化の異なる海外で商品を売るより、日本国内で売れる商品を創り出すことに知恵と労力を注いだ方が、はるかに効率的かつ成功率が高くなるのではないでしょうか。
【出展:平成26年度国民経済計算確報(ストック編)内閣府経済社会総合研究所(平成28年1月15日)】
②生産年齢人口とGDP比較
人口が減少する中で、GDP(国内で生み出される付加価値の総額)が減少するため、国内に生み出されるお金が減少するというイメージがあります。
しかし、人口が急激に減少するということで本当に急激に生産など、生み出される付加価値が急減するのでしょうか。
機械化や知恵で効率をあげることができた場合、国内所得総額の低減を緩やかに食い止められれば、将来において商品が売れなくなる原因とはなりません。
実際、米国と日本の名目GDP差は4.3倍ありますが、生産年齢(15~65歳)一人当たりの実質GDP差は1.4倍まで縮みます。EU(カントリーリスクA国総計)と比較すると日本はほぼ同じとなります。
これは、日本の付加価値の生産能力が他国と比較して高いということになります。
更なる効率化を図れば、人口減少が将来の経済低迷に直接的な原因とはならないことも考えられます。
■日本で売れないものは米国でも売れない
経済的にも規模の大きい日本市場で、日本の先行き不安だからという理由だけで米国進出しても成功しません。
日本にはまだまだお金があります。このお金を市場に引き出す商品を知恵と行動で生み出さなければ、商品はいつまでたっても売れません。
米国展開においても同様で、購買意欲を引き出せない商品は、いくら人口が多く経済規模が大きくても売れません。
これは、売り上げが下がった原因を、国内経済の問題にしていては、対処すべき本当の課題を解決できず、米国でも売れないままとなってしまいます。
経費だけが出費され経営に大きなダメージを与えるかもしれません。
商品を売るためには値段を下げることも一つの手法ですが、米国においても売れないものは値段を下げても売れないままです。
知恵を使って売れるものを生み出さなければ、根本的に解決しません。
■日本で売れたあと・・・
日本国内で商品が売れ続けるということは、その商品を使うことで何らかの利点があることが考えられます。
つまり、利益が出るということは社会に貢献している証と言えます。
そのような良い商品は、日本だけではなく海外の方々にも使ってもらい、更なる貢献をした方が良いと考えます。
良いものは出来るだけ多くの人に行き渡るようにして、もっと社会に貢献できるように世界の方々に有益性を享受できる活動をする必要があるのではないでしょうか。
それには先ずはじめに米国が良いと我々は考えます。
理由は、米国は世界への情報発信の中心という機能があるためです。
米国で開催される大規模の展示会は、情報を求め世界中からバイヤーがやってきます。米国は情報が集まる中心地となっているためです。
世界へ情報を発信するときは、世界から人が集まる場で発信することが、限られた資源を一番効率的に活用できます。
しかし、その情報発信の中心地の米国で、日本と同じものが売れるとは限りません。
米国人向けに改良を加えなければ売れない事が多々あります。
米国人の文化や生活スタイルなどを知り、商品を米国人に合わせる事ができれば売れる可能性は高くなります。
米国企業の多くは、米国市場→世界市場という直線的な考え方です。そのため、米国市場で商品を投入し、米国市場にもまれながら商品を完成させてゆき、欧州やアジアなど世界市場へ向かうという発信の中心地的な考え方となっています。
日本企業においては、国内事業と海外事業と分けて考えます。米国企業は当初より世界を狙っているため、日本のような海外事業部という考えがなく、社員皆が世界市場ありきで活動しております。
日本企業の社員皆が、日本で売れたあとは、米国に、そして世界に、という視野の広い考えになれば米国のようにイノベーションが生まれやすくなるかもしれません。
日本で商品が売れたならば、次は世界を目指すのは普通の事であり、世界に向かうための第一歩は米国が最も効率的であり、米国で売れたあとは欧州など世界を目指すという流れが、米国企業では当たり前の考え方です。
米国進出の理由は、日本沈没するかのイメージの中で、社運をかけて必ず成功させなければならないといった精神論的な特殊な資質のものではなく、企業活動において一般的な世界の流れです。
海外進出は必ずすべき事柄ではなく、日本で業務を行い極めていけば、海外へ向かう時期が勝手やってくる必然的な事柄のように思えます。
米国進出は、目指す山の頂ではなく、日ごろ行っている業務において、麓の登山道にある標識の一つといえます。
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