アメリカ市場に展開するときは、商品だけでなく、原材料のネーミングも重要です。その一例は、アメリカ大手ハイエンドスーパーマーケットのWhole Foods(ホールフーズ)の店内を歩いていても気づくことができます。
日本のお米はSushi Rice(スシライス)という名前
ホールフーズのPBは365というシリーズで展開されてます。
そのお米売り場の写真がこちらです。
写真真ん中の段の左側、Wild Rice(ワイルドライス)は、北アメリカの湿地帯でインディアンが食していたと言われているお米です。黒く細長いお米です。スーパーフードとしてアメリカで人気があります。
その横のArborio(アルボリオ)は、短小のイタリアのお米です。イタリア料理では有名で、リゾットを作る時に使われてます。
そして、その横が日本のお米『Sushi Rice(スシ ライス)』です。
日本のお米は「スシライス」と呼ばれてます。
日本でお米は5kgとか10kgという単位で買いますが、アメリカでは小分けの袋に入ってます。これは、毎日食べる食材ではないからです。
「今日の夜はイタリアンでリゾットにしよう!」となれば、Arborio(アルボリオ)を買い、「今日の夜はスシにしよう!」となれば、Sushi Rice(スシライス)を買います。その特別な料理のために一回で使い切れる量にしているのでしょう。
アメリカでは、毎日お米を食べないからです。
では、Sushi(スシ)とは・・・
ホールフーズ内のお持ち帰りできるコーナーに行ってみると、スシのイメージが分かりやすくなると思います。日本で例えるとスーパーのお弁当コーナーです。
そのスシコーナーの写真がこちらです。
日本でも見慣れたお寿司があったり、カリフォルニアロールのようなアメリカのお寿司のようなものがあったりと様々です。
中にはベトナムの生春巻き風のものもお寿司になってます。
ではSushiとは、いったい何かと言えば、日本人のイメージするお寿司ではなくて、Sushiというアメリカの食べ物と思ってもらった方が、日本人の方には理解しやすいと思います。
「Sushi Rice(スシライス)を使っていればSushi。何もおかしくはない!」と言われても言い返せないでしょう。
このSushiコーナーには、Sushi Burrito(スシブリトー)が普通に売られてます。
アメリカ人が知っている料理に合わせる
日本のお米をブランドのササニシキやコシヒカリとアメリカ人に発信しても、それがどういう料理に使っていいのかわかりません。家で本格的な日本食を作るアメリカ人は稀です。
でもSushi(スシ)はたまにですが、家で作れます。
Sushiを作るときは、当然ですがSushi用のお米を選びます。だから『Sushi Rice(スシライス)』なのです。
原材料もイメージできる名前にしないと、一般的には広がりません。一般的に広がらないものは大手小売店に陳列されません。アメリカ市場でビジネスにするためには、アメリカ人にとって一般的なものに仕上げないと成功し難くなります。
例えばシイタケですが、このスシコーナーに置かれてました。お弁当のコーナーなのに乾燥シイタケがあります。アメリカの家庭ではまだまだ認知度が低いシイタケを、アメリカ人はどのようにして食べているのか、気になるかと思います。
その答えは、乾燥シイタケは、お弁当食べながらのチップスとして売られてます。
アメリカにいると、サンドイッチとポテトチップスの組み合わせを頻繁に目にすることでしょう。
サンドイッチの代わりにSushi。ポテトチップスの代わりにベジタブルチップス。
アメリカ人にとっては何も違和感ありません。
オーガニック・ナチュラルのスーパーの代名詞Whole Foods(ホールフーズ)ならではです。ポテトチップスの代わりとして韓国ノリが健康的と認識され広がり、そして韓国のりは定番のおやつとなりました。
ポテトチップスの代わりに野菜チップもこれからもっと種類が増えそして拡大することでしょう。アメリカ人の中間層以上の家庭は、かなり健康志向です。
シイタケだけでなくオクラも、アップルやバナナとおなじチップスになってます。
様々なチップスがここに置かれてます。
日本の素材であるオクラやシイタケは、チップスという括りで、ベジタブル・バナナ・アップルチップスの間に入れば、アメリカ人が知らない素材でも健康に良さそうで、抵抗なく購入できます。
知らない日本特有の素材は、乾燥させて名前に「チップス」をつけると、「ポテトチップスの代わり」+「健康に良さそう」となることでしょう。そこにシイタケやオクラの詳細な説明は、必要なくなります。
アメリカ人の食生活に合わせるネーミングを考えると、ホールフーズへの展開もハードルが一段下がることでしょう。
0コメント