アメリカ小売店に入り込む戦略(商品デザイン)

 アメリカの小売り市場は大規模な全国チェーン店か、地域数店舗の小売店かに分かれています。中規模で展開している小売店はありません。

 その中でも、日本企業が目指すところは、中国とし烈な価格競争を行う小売店ではなく、製品価値を価格に変換してくれるアッパーミドル層以上をターゲットにしている小売店ではないでしょうか?

 そこに入るためには商品の機能だけではなく、商品デザインから戦略を練らなければなりません。

 イメージですが、上の図はアメリカ人が行く食料品や家庭用品の小売店を、所得別に分けたものです。

 小売店は戦略的に、顧客の所得階層に合わせた店舗展開をします。

 立地であったり、商品構成であったり、店舗空間設計であったり・・・

 

 これを読まれている方で、アメリカへ販路開拓をしようと考えている商品があるかもしれませんが、その商品はこれらの小売店の雰囲気にあったデザインになってますか?


 例えば、アッパーミドル層以上を顧客層にしている家庭用用品店の『Williams-Sonoma』

 こちらで棚に置かれているフライパンやお鍋の写真ですが、取手の部分にポリッシュ加工をしている商品が多いのが見えますでしょうか。

 ステンレスのマテリアルカラーやポリッシュ加工は、高級なイメージを持たせます。

 清潔で高級感を演出するために、店内に陳列されている商品自体が、店舗内の空間デザインの一部になります。この雰囲気に合わない商品は陳列される可能性が、格段に低下するでしょう。

 他のも食器ですが、春節に近いため中華料理の提案をしてました。その時の写真がこちらです。日本人が持つ中華料理用の食器の配置とは異なると思います。まるでホテルの高級中華レストランのような食器の配置ではないでしょうか。

 食器の配置のベースにあるのが、こちらの食器のコーナーの写真をみると分かりやすいと思います。

 このベース配置に、中華のドンブリが追加したように食器を組み合わせないと売れません。日本の食器も同じです。和食の食器単体で展開しても、この層には売れません。セットで雰囲気を合わせる工夫が必要です。

引用 Williams-Sonomaより http://www.williams-sonoma.com/shop/new/global-inspirations-japan/


 食品も同じように、店内陳列を考えてパッケージデザインをしなければなりません。

 アッパーミドル層をターゲットにしている『Whole Foods Market』(ホールフーズマーケット)ですが、

 野菜売り場コーナーに、カラーコーディネーターが配置を決めているほど、店舗内空間デザインに力を入れてます。

 日本独自の食品の味噌ですが、アメリカの『MISO MASTER』(ミソマスター)が、味噌コーナーのメインに陳列されてます。

 味噌といったら日本というイメージですが、ホールフーズは日本の味噌メーカーより倍くらい価格の高い、ミソマスターというアメリカメーカーをメインに陳列しています。


 ミソマスターはノースカロライナ州で味噌を作っているアメリカのメーカーです。オーガニック素材で、職人が木樽で熟成させるこだわりの製造をしてます。

 ミソマスターの容器はカラフルで、味噌の種類毎に色分けされています。赤味噌なら赤い容器になりそうですが、グリーンになってます。

 商品の容器の色使いも店内陳列されるためには重要な要素です。

 また、アメリカ人にとってペースト状の調味料は円形容器の方が親しみやすいところがあります。例えば、ペースト状の調味料でアメリカの家庭に入り込んでいるもので、サルサソースがあります。

 店舗空間の雰囲気やイメージにあった容器にするのも、アメリカ展開におけるひとつの戦略です。

 ゴールを定めて、そこに向けての商品を作ることが、アメリカ展開への第一歩になります。

M-Cross International Corporation Column

米国トーランス市に拠点を置くMCICが、米国進出のノウハウや独自の市場分析をコラム形式にて情報を掲載

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