中身を魅せるというブランディング

 ブランドの経済的意義では、ブランドの価値は超過収益力として表現されます。他社とまったく同一の性能や機能の商品を販売する場合、他社よりも高い値段を付けても売れるならそれはブランドの信用力に由来する価値となります。

 つまり、ほぼ変わらぬ性能や機能の他社製品の価格と比較して自社製品が価格が高く売れたならば、その差額がブランドの収益力となります。
 これは、価格差だけではなく販売数量の差もブランドの信用力を示すものと考えます。他社と同じような商品であれば、自社の商品を選んでくれるというブランディングです。
 情報が氾濫している現代において、ブランドの信用力という中に潜んでいる安心感もマーケティングにおいて重要な位置を占めます。

アメリカアパレルブランド「エバーレーン」

 エバーレーンは2010年に設立されたオンライン発の製造小売りブランドです。インターネットを通じて自社で開発した商品を直接商品者に届ける手法で、低迷しているアパレル市場でも成長し続けているブランドです。

 サンフランシスコに本社を小さく構えていて、売上高は1兆円を超える急成長ぶりを見せてます。

 エバーレーンの成功のひとつに、透明性を示すことで消費者に安心感を与えています。


工場の中身が見える

 エバーレーンが自社開発している製品を製作している工場をホームページ上で明確にしてます。どのような工場で、どのような人たちが、どのような想いで作っているのかを見える化することで、消費者は製品に対する安心感を得ることができます。


◇世界各地の製作工場

◇製作工場の情報や状況

価格の中身が見える

 作られている工場の中身が見える透明性だけではなく、ある製品に対する価格構成も中身が見えるようにしてます。

 例えば1着$28.00の製品を選択したとします。

 そのページの一番下に行くと、$28.00の内訳を見る事ができます。

 原材料費、工場人件費、関税、輸送費など示され、エバーレーン仕入れ価格が$12.00と示されてます。

 今までの一般的な小売店でしたら$60.00、エバーレーンでは$28.00と比較して消費者に分かりやすくしてます。

 エバーレーンに届いた時の価格を、TRUE COSTと記載しているところも透明性をアピールしてます。


ブランドとは何か?

 ブランドの始まりは畜産家が自分の家畜に焼き印を押したところから始まっていると言われてます。生産者を明示することで消費者に安心感を与えていたのでしょう。

 今でもブランドは消費者に安心感を与えているでしょうが、ブランドというだけで安価なものも高価に売るという行為も少なからずあります。それは膨大な広告宣伝費などをかけているからしょうがないかもしれません。

 これだけ膨大に商品が溢れている現代において、消費者は選択することに関して精神的負担が増えているかもしれません。

 お金を出して商品を購入するという一連の行為の中で、できるだけ価値があるものを選択したいという要望があることは今も昔も変わりません。できるだけ価値があるという定義が、周囲の人が一目で高価な商品とわかるものから、もの自体の実際の価値に移り変わっているかもしれません。

 そこには、透明性という戦略は有効なものになるでしょう。

M-Cross International Corporation Column

米国トーランス市に拠点を置くMCICが、米国進出のノウハウや独自の市場分析をコラム形式にて情報を掲載

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