アメリカと日本の意識の違い

アメリカの国家戦略から読み解く

■冷戦以降のアメリカの世界戦略

 冷戦を第3次世界大戦と取ると、アメリカの国家戦略が見えてくる。

 この冷戦に勝利したという見方でアメリカの今後の戦略を読み解くと、以下の2点が見えてくる。


 ・新しい科学技術に基づく軍事力により、世界各国を抑える事ができる。

 ・テロリストに対する戦いでは、同盟国を作り上げて戦う戦争ではない。


 このことから、同盟国を構築または維持する重要度は、冷戦前より低いものと考えられ、何が何でも同盟国を維持しなければならないという考えは、今のアメリカには無いように思える。

 世界は軍事的に同盟体制をとる必要が無くなった。

 つまり、日米同盟を強固に維持する必要もない。


 同盟により経済的にお互い多分なメリットがあるのなら、その国に対して偏った政策をとることになるが、貿易大国のアメリカにとって日本は然程重要と考えていないように見える。

 輸出相手国:1.カナダ 19.1%、2.メキシコ 14.3%、3.中国 7.7%

 輸入相手国:1.中国 19.4%、2.カナダ 14.7%、3.メキシコ 12.4%


 つまり、日本が考えているほど、アメリカは日本を注目していない。


■過去のアメリカの日本に対する政策

 戦後から冷戦まで、アメリカの日本に対する政策は、日本を一方的に安全な立場に置き続ける努力を怠らなかった。

 この政策は、日本が強い攻撃的兵器を持つことを阻止しようとする思惑があったと思われる。

 そして日本は、経済の拡大だけに専念できることとなり、世界トップクラスの経済大国となることができた。

 

 ここから、アメリカ側の視点で日本の経済発展を見てみる。

 アメリカが提供する安全の元で、世界各国へとビジネスを進めて行き、経済発展したのち、バブル経済の時には膨大なドルを手にした日本が、アメリカの重要な企業や資産を乗っ取ろうとしたように見える。

 ロックフェラーセンターをはじめ、エンパイヤステートビルディング、ぺブルビーチのゴルフ場など買い取ろうとした日本の資本家たちを、一部のアメリカ人は今も許そうとは思っていない。

 これはアメリカ人から見ると報復とも映る。


 更に、日本がいま核を保有したところで、今の日本はアメリカには向けないという考えも合わさると、日本を重要視しなくても良いというように見える。


■南北戦争とトランプ政権

 これらの状況から将来を予測するにあたり、今のアメリカを考える。


 アメリカの南北戦争は、奴隷解放側の北軍(ブルーステート)と、反対する南軍(レッドステート)との戦いであった。

 北軍の勝利により、人種差別を無くす努力をし続けたのが今のアメリカである。

 

 しかし、今回の選挙のトランプ大統領の誕生は、北軍側のアメリカ経済システムに反対する南軍側の勝利、とみればどうであろうか。

 

 移民の排除、中国への貿易規制、日本の自動車産業への偏った政策。


 人種差別とまではいかないが、アメリカ人に眠っていた他国民と自国民の差別化の意識がみられる。


 米国で生産している日本の自動車産業は、米国人の雇用を生んでいる。

 しかし、そんなことは承知の上で、日本のメーカーに圧力をかける。


 カリフォルニア州でアメリカを肌で感じると、他国民と自国民の差別意識はあまり内容に見える。これはカリフォルニア州が北軍側の代表する州であるからであろう。

 カリフォルニア州がアメリカから独立するという意見が多いのも理解できる。

 

 今のアメリカと過去のアメリカとでは異なる思想を持っていると見た方が良い。


 今のところ明確に未来が予測できないが、日本企業が米国進出するときはブルーステートの州に拠点を置くことが無難である。


 日本人が思っているアメリカと、アメリカ人の考える日本とでは、国と国の関係における重要度の意識の違いがあるように感じられる。



引用文献【著:日高義樹「アメリカの戦略を知らない日本人」】

 

M-Cross International Corporation Column

米国トーランス市に拠点を置くMCICが、米国進出のノウハウや独自の市場分析をコラム形式にて情報を掲載

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