日本人とアメリカ人の違い(空気を読むか読まないか)

 日本人とアメリカ人との違いは様々ありますが、最も大きな違いに「空気を読むか読まないか」にあると言われています。
 日本人とアメリカ人がスムーズにビジネスできない抵抗力が、ここにあると考えます。
 この差を理解することで、日米間のビジネスをスムーズに進めることができます。

 日本人が初めてアメリカに行ったときに、アメリカ人に違和感を感じる場所は、空港の入国審査ではないでしょうか。

 長蛇の行列が出来ていても、入国審査官は焦る様子もなくお喋りしながらゆっくりと審査してます。列に並んでいる日本人のイライラも全く感じる事無く、マイペースに仕事をしています。

 並んでいる日本人側から入国審査官を見ると、空気を読んで効率を上げて仕事をしてほしいと考えてしまいます。

 アメリカ人から見ると、ヨーロッパと比較して、プロテスタントのアメリカでは真面目に働く人が多いとの見方です。その証拠にアメリカは、欧州と大差をつける経済発展をしました。

 真面目に働くという点では、日本人とアメリカ人は似ていますが、空気を読む読まないという点では、日本人とアメリカ人は最も離れていると言われています。


■コンテクストとは

 コミュニケーションのスタイルの違いに、コンテクスト(英: Context)の違いが挙げられます。コンテクストとは、文脈、脈絡、状況、背景、前後関係などです。


 ローコンテクストとは、コンテクストの共通性が低いことです。つまり、状況や背景などの共通性が少ないため、話し手と聞き手との間で暗黙の了解が比較的少ない環境です。

 ハイコンテクストは、反対に話し手と聞き手の間で暗黙の了解が比較的多い環境です。


 単一民族の国家ほど、共通の背景を多く共有しているためハイコンテクストになり、多民族が入り混じる国家では、共通の背景をほとんど共有していないためローコンテクストになります。


■アメリカが世界で最もローコンテクストな国

 世界を大きく3つに分けると、

 ・アングロサクソンの言語郡

  アメリカ、オランダ、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フィンランド、デンマーク、イギリス・・・

 ・ロマンス諸語

  イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル・・・

 ・アジア系言語

  サウジアラビア、イラン、インド、インドネシア、中国、韓国、日本・・・


 この3つのうち、最もローコンテクストな言語郡は、アングロサクソンの言語郡となります。そのアングロサクソンの言語郡の中で最もハイコンテクストな国は比較的単一的なイギリスとなり、最もローコンテクストな国はアメリカとなります。アメリカの次に、オーストラリア、カナダと続きます。


■日本は世界で最もハイコンテクストな国

 3つの言語圏でローコンテクストは順は、アングロサクソン言語郡⇒ロマンス諸語⇒アジア系言語との順となります。また日本はアジア系言語の国の中で、最もハイコンテクストな国です。


 つまり、日本が世界で最もハイコンテクストな国となり、アメリカが世界で最もローコンテクストな国となります。


 最もかけ離れたコミュニケーション手法を取る国である、アメリカと日本。この日米間の違和感を理解することで、日米間でのビジネスが上手く行きます。働くという点では世界で最も近い国ですので、このコミュニケーションさえ乗り越えれば、世界最強のタッグを組み世界中でビジネスできることでしょう。


■両者の違いを知る

 ハイコンテクストの国でのコミュニケーションで大事なのは、言葉に出さない内容を察知することが重要な点になります。

 会議中で、周りが考えている事を察知して、周囲の状況に合わせるということも、ハイコンテクストな国では必要になります。

 長年寄り添った夫婦が、言葉少なくともお互いを察知して分かり合う状況に近くなります。なぜなら長い期間、多くの事柄を共有することで、多くの共通事項を持っているからです。日本は長い歴史を単一民族で共有しているため、多くの共通事項を多くの人が共有しています。つまり、暗黙の了解を常に行い、空気を読み合い生活してます。

 

 反対に、アメリカは多くの民族が短い歴史の中で混じりあって生活してます。


 このようなローコンテクストな国では、ほとんど共通点を持たないため、暗黙の了解がないため、ひとつひとつ話さないといけません。そのため、日本人から見るとアメリカ人との会議では、「わかりきったことを不必要なまでに口にしている」と感じてしまうかもしれません。「参加者は皆わかりきっているので、そんなことをいちいち言わなくてもいい」と感じてしまいますが、最もローコンテクストな国のアメリカでは、これが会話で重要な手法となります。

 同様に、子供に説明するくらい簡単な説明をするため、このルールを知らない日本人は、会議でバカにされていると感じるかもしれません。

 

 日本人から見ると、アメリカ人は「空気を読まない人が多い」と感じてしまいますが、それがアメリカ人との会話で必要な要素となります。

 

 できるだけ、明確に、分かりやすく、簡単に・・・


 これを心掛けなければ、アメリカ人は違和感を感じます。暗黙の了解はありません。空気も読みません。


 イギリス人がアメリカ人に対して、ジョークの最後に「これは冗談さ」を付けないと、ジョークを理解してもらえないという、ジョークがあるくらいです。

 そんな、アングロサクソンの言語で最もハイコンテクストなイギリスも、イタリアやフランスから見ると、とてもローコンテクストな国になります。 


■アメリカ人との会話に慣れない日本人が心掛けるコツ

 世界で最もかけ離れた国同士の会話では、違和感を無くすまでにかなりの時間を有します。そのため、アメリカでのビジネスにおいても、アメリカ人の協力者を増やしアメリカ市場に根付くには時間がかかるものです。

 しかし、ビジネスはそんな熟成させる時間を与えてくれる事なく、待ったなしで始まります。

 

 アメリカ人との会議で最低限、コツとして掴んでおきたい事は、全ての事を伝えようとしない事です。

 日本人によくあることは、アメリカ人は暗黙の了解が無いため、多くの内容が伝わっていないと感じてしまい、そのため、会議でも全ての想いや考えを伝えようとして、事前にびっしり文字が書いてある書類を作成して会議に挑んだり、多くの事を伝えようとするあまり、対面での会議を望んだりします。

 アメリカ人は、分かりやすく、シンプルに伝え合うことに重きを置きます。そのため、これからの行為は逆効果です。

  日本人は、全ての事を一回で伝えようとせず、全てを伝えたい気持ちを抑えて、内容を絞り込み、シンプルにして簡潔に伝える事を行えば、アメリカ人とのビジネスでの関係が良くなります。

 

 また、簡単に説明してくるアメリカ人にバカにされたと感じてはいけません。


 この、全てを伝えようとせず、イライラせず、の2点を心掛けると関係が良好になります。


  日本人にとっては我慢の連続です。


 しかし、アメリカの土地から利益を得るということは、アメリカのルールに従わなければなりません。日本の常識は日本の土地でしか常識となりません。

 共通する背景が少なく、多くの民族がアメリカの土地に入ったことで、このようなコミュニケーションルールとなりました。そのため、アメリカ市場では日本人もアメリカの多くの民族の一つとなりますので、アメリカのルールになじむ事がビジネス成功の鍵となります。


 アメリカでのビジネスで成功するためには、如何に早くアメリカという国を理解するかにかかってます。

 

 アメリカでのビジネスで、空気を読んではいけません。


  空気を読まないことが、コミュニケーションのルールだからです。

  このことは、無条件に欧米文化を受け入れるということではありません。これからの時代、日本の物を世界に展開させるためには自ら都度考えていかなければ成功しません。
  相手の特性を知り、理解した上で、状況に応じて応用しながら使うことが必要になります。
  そのためには、相手の本質を知ることから始まります。

M-Cross International Corporation Column

米国トーランス市に拠点を置くMCICが、米国進出のノウハウや独自の市場分析をコラム形式にて情報を掲載

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