2020年の予想値を含め、APPA(American Pet Products Association)が発表している米国ペット産業市場規模と所有者の統計より、米国のペット市場を読み解きます。
この市場には成長の鈍化は見られず、まだまだ成長すると言われ、2019年には10兆円を超えました。
米国のペット市場の特性
アメリカで犬や猫を飼うには、ペットショップへ行っても購入できません。
熱帯魚や小動物はペットショップで購入できますが、犬や猫はお金を出しても購入することができません。
ではどこへ行けば犬や猫を飼う事ができるのか?
それは、ShelterやNon profit rescueなどボランティアや寄付により運営されている動物保護施設で、養子縁組を実施しなければ飼う事ができません。
アメリカの都市では市法により(2015年には60都市を超える)ペットショップでも犬や猫の動物を販売する事を禁止して、ShelterやNon profit rescueの犬や猫でなければならないという法律があります。
ペットはどちらかというと人間に近い扱いをされているため、人間社会で生活できるよう訓練もされてます。
そのため、アメリカのペット産業の市場規模には、生き物を売り買いする生体販売の数値は入っておりません。
アメリカのペット産業の市場規模は約10兆円、日本は約1.5兆円と言われてますが、アメリカの数値には生体販売が入っていない数値のため、日本と比較して大きな差のある市場と言えます。
日本国内の家電やアパレルや食品など含めた全EC市場(カタログ、テレビ、ラジオ通販含む)は10兆円規模であることから、アメリカペット市場規模の大きさが数値より覗えます。
アメリカペット産業支出総計
Total U.S. Pet Industry Expenditures
Year Billions of dollars
2020 $99.0 Estimated
2019 $95.7 Actual
2018 $90.5
2017 $69.36
2016 $66.75
2015 $60.28
2014 $58.04
2013 $55.72
2012 $53.33
2011 $50.96
2010 $48.35
2009 $45.53
2008 $43.2
2007 $41.2
2006 $38.5
2005 $36.3
2004 $34.4
2003 $32.4
2002 $29.6
2001 $28.5
1998 $23
1996 $21
1994 $17
[引用:APPA http://www.americanpetproducts.org/press_industrytrends.asp]
こちらの数値を1ドル105円 で換算したグラフは以下の通りです。
※より正確な状況を把握するため、2018年より調査方法が変更になりました。
この2019年の内訳は
Food(ペットフード) $36.9 billion
Supplies/OTC Medicine(サプリ、薬) $19.2 billion
Vet Care(獣医治療診療)と商品販売 $29.3 billion
Other Services(その他サービス) $10.3 billion
2020年の予想は
Food(ペットフード) $38.4 billion
Supplies/OTC Medicine(サプリ、薬) $19.8 billion
Vet Care(獣医治療診療)と商品販売 $30.2 billion
Other Services(その他サービス) $10.7 billion
所有世帯数(2019)の内訳は
Bird 5.7millions
Cat 42.7millions
Dog 63.4millions
Horse 1.6millions
Freshwater Fish 11.5millions
Saltwater Fish 1.6millions
Reptile 4.5millions
Small Animal 5.4millions
[引用:APPA http://www.americanpetproducts.org/press_industrytrends.asp]
こちらは2017年のデータとなりますが、所有頭数の内訳は
Bird 20.3millions
Cat 94.2millions
Dog 89.7millions
Horse 7.6millions
Freshwater Fish 139.3millions
Saltwater Fish 18.8millions
Reptile 9.4millions
Small Animal 14.0millions
[引用:APPA http://www.americanpetproducts.org/press_industrytrends.asp]
160万世帯で馬が飼われているところが、アメリカらしいです。
犬や猫に年間かけている費用の内訳は、以下の通りです。
Dogs Cats
Surgical Vet Visits $426 $214
Routine Vet $212 $160
Food $259 $228
Food Treats $76 $58
Kennel Boarding $229 $120
Vitamins $58 $54
Groomer/Grooming Aids $73 $43
Toys $48 $31
[引用:APPA http://www.americanpetproducts.org/press_industrytrends.asp]
アメリカペット市場参入へ向けて
アメリカのペット市場は規模が大きいだけではなく、犬や猫は人に近い扱いをされております。
アメリカでは、特に我が子のようにペットを扱う人を、ペットペアレンティングと呼びます。
このペットペアレンティングと呼ばれる人たちは、我が子にお金を使うようにペットにお金をかけます。より良い商品を、より安全な商品を、より高い商品を好みます。
このような人たちへ向けて、人間用の商品をペット用に改良することで、この市場に参入することも考えられます。
大事なペットだからこそ、ペットに配慮された商品は売れます。
日本人ならではの、きめ細やかな安全性や使いやすさに拘られた商品は、参入できる可能性が高いものと思われます。
低価格のみ追い求める市場ではないため、このアメリカペット市場に合わせた商品を作り出し、異分野から市場参入をする方法も、日本企業のアメリカ進出のひとつの方法と言えます。
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