『生活空間のすべてをデニムに』この世界観をアメリカに

 ジーンズのストーンウォッシュ発祥の国【日本】、その中でもデニム産地として中心の地【岡山県】の浅口市に位置する株式会社山陽ハイクリーナーがアメリカに仕掛ける戦略とは・・・

 アメリカに進出する株式会社山陽ハイクリーナー(岡山県浅口市)。この企業は通常のありきたりのブランドが行う海外進出の戦略を取らない。

 日本企業が世界へ進出するにあたり、これからの進出の在り方を示す代表的な戦略となるであろう。


■株式会社山陽ハイクリーナーとは

 浅口市鴨方町で1968年クリーニング業として始まり、80年代のジーンズブームのころ設備が整った企業であったため、ジーンズの洗い加工を行ったことからこの業界の代表的企業となる道を歩み始めた。


 ジーンズを自然にかっこよく加工するには、様々な工程が必要であり、その様々な工程は、各専門の企業の加工作業を経て製品となるのが通常のやり方である。 

 アメリカでも有名な、岡山デニムの倉敷市・貝原デニムの福山市の中間に位置する浅口市では、ジーンズの加工を行う各専門企業がそろっていない。

 そのため、ジーンズのデザインが常に進化するなか、デザイナーが求める加工を一貫して自社で受けて実施することで、この企業の進化を遂げている。


 『自然にかっこよく』という製品加工を、量産規模で同じ品質を保ち、加工数量を工業的に確保することは困難なことであるが、この困難な加工を手作業で工業品質に確保し続けている。

 ストーンウォッシュは柔らかさがバラつく、色落ちも、縮み方もバラつく。

 これが、天然のコットンを原材料としているためである。

 天然素材は特性がバラつく。

 

 分野関係無しに、天然の材料を用いて工業生産することは技術的に最も困難である。

 

 入口は乱れているものを、その乱れに応じて手を加え、出口は同じものを作らなければならない。

 天然素材は言うことを聞かない暴れる子供のような感じで予測できない。これを全て良い子に仕上げないといけない。それも全数である。


 この企業のすばらしさは、全数において最高の品質と安定性を求める。


■デニムの加工を一貫して自社で実施

 ジーンズを購入するときに、ジーンズは柔らかく良いデザインの製品にあふれています。

 加工をしていないジーンズはゴワゴワで、インディゴ染め特有の濃紺という単一的な製品ばかりになってしまいます。

 しかし加工を施しているため、お店には様々なデザインにあふれてます。

 新品だが履き心地が良く、かっこいいデザインが多数あります。

 それは、これらの加工技術が工業製品として量産可能になったからこそです。

 そして、その加工の技術を高めてきたからこそ、ジーンズ製品は様々なデザインに溢れ豊かさを与えてくれます。

 日本が最も強い分野というのも納得できます。

 そんな困難な様々な加工工程を自社で一貫するからこそ、品質が最高峰で安定した製品を社会に届けられて、お客様がそのような良い製品を享受することができます。


・ひげ加工:線形状の色落ち加工で、関節あたりにできる色落ちを加工

・シェービング加工:面形状の色落ち加工で、太ももあたりにできる色落ち加工

・サンドブラスト加工:細かい砂を吹き付けて色落ち加工

・ストーンウォッシュ加工:石を入れて洗う加工で、均質なダメージ感と柔らかさを生み出す加工

 他にも、ダメージ穴を手作業で開ける加工や、ダメージの色合いを手作業で補正するブリーチ加工も実施している。

 クライアントのデザインを実現するために、試験室にてテスト加工を行い、そこで見いだされた内容で本生産に入る。


 そして、この企業のこだわりは、作業する環境への配慮もこだわっている。

 シェービングの加工する工具は、工具をリールにて補助することで重力低減され作業負担を限りなく少なくしている。

 また、ブラスト加工では、ブラスト作業部分を最大限負圧にするような設備とすることで、ブラスト作業場所には粉塵が飛ばないようになっている。

 そしてそのブラストで選んでいる砂はガーネットである。

 通常、重量鉄骨のブラストなどに使われる高価なものであるが、この企業は作業環境を重要視させるためにガーネットを選定している。

 ガーネットは遊離シリカや重金属を含まない天然石であることに加え、砂粒に鋭角を持たないため、微粉末が飛散し難い材料である。

 そのため、作業者に負荷を極力負荷を与えない材料を選ぶためガーネットを選定している。

 製品だけでなく、決して表に出ないものまで全てにこだわっている。


■ストーリー、世界観をアメリカへ

 このような企業のこだわりをアメリカに示めす戦略を実施する。

 この企業のこだわりは、自主ブランドの製品開発にもみられる。


 全ての生活空間にデニムを広げる。


 そのような考えのもと、生活シーンで使われるものをデニムを使用した様々な独自の製品を自社で開発して製作されている。

 写真で単品を商品を紹介しても、このオリジナルブランドの世界観は伝わらない。

 デニム製品が集合してからこそ、生活空間がデニム製品に置き換わるイメージが伝わり、置き換わった生活空間の明るさ、柔らかさ、暖かさがハッキリと浮かび上がる。


 この世界観を伝えるためのブランドショップが東京下北沢に続き、本拠地の岡山県浅口市に2017/05/26にオープンした。

 本拠地浅口市にて、企業の最大のステークホルダーである社員の家族へ自社製品を見てもらう事ができ、本拠地を構える地域の方々へ知ってもらう。

 そのような想いから本拠地に店舗を構え、発信する考えのようだ。

 アメリカから始まる世界発信における戦略で、このブランドの世界観を伝えるために、アメリカへは一挙に600種類を発信する。

 単品で順次攻めるのでは、この素晴らしい世界観がアメリカ人に伝わらないためだからだ。


 そして、この拠点をデニム加工の聖地として、アメリカへ発信して、アメリカ人を呼び込む戦略を取る。

 年間数万人を浅口市に呼び込むため、様々な戦略を構築して各社が動き始めている。


 アメリカのデザインを学ぶ大学生を研修を兼ね長期滞在で呼び込む事で、アメリカのアパレル業界への発信力も高める。


 様々な戦略を同時に実施することで、単一的な攻め方ではなく複合的に攻める。

 通常のありふれたインバウンドとは全く異なる。

 

 アメリカ人に伝えたい。


 それがアメリカ進出の基本理念となっている。


 主担当のスコット氏が最も燃えている。

 アメリカ人が楽しんでやりがいを持ってプロジェクトをしようとしている。

 アメリカ人の心を動かすプロジェクトは文化差を超えて成功すると考えている。

 プロジェクトの主担当のスコット氏が商品を着た時に、アメリカ人がこの商品を使って生活している映像が頭の中で様々なイメージが生み出された。

 日本だけではなくアメリカでも自然に広がる製品となることであろう。

M-Cross International Corporation Column

米国トーランス市に拠点を置くMCICが、米国進出のノウハウや独自の市場分析をコラム形式にて情報を掲載

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