アメリカでのビジネス成功法則(本質は信用度=金額)

アメリカ進出において、アメリカで事業を行うには、まず信用づくりから

 アメリカで日本企業の事業構築を様々支援してますが、文化の違いや商習慣の違いでビジネスがスムーズに進まない場合や、こうすればもっと早く成功するのに・・・といった事例が多くあります。

 アメリカでビジネスでスムーズに進まなかった要因を調べれば調べるほど、木々の枝葉のように多岐にわたり、本当の原因はわからないままとなります。


 本質を理解して根本から対策を取らなければ、米国ビジネスは成功しないと我々は考えます。

 日本企業が米国でビジネスし、利益を創出するためには何が必要で、どのような考えが必要か・・・

 アメリカ進出における成功するための大事な情報を解説していきます。


■お金(貨幣)とは何か?

 初めにビジネスの成否を判断するお金とは何かについて考えたいと思います。

 

 お金のことを経済用語で貨幣または通貨と呼びます。

 経済学の教科書で、貨幣とは何か?といったことを調べると、商品交換の時の媒介物で『価値貯蔵』『交換手段』『計算単位』の三つの役割があるとされています。

 これはお金の機能的な説明であり、本質を捉えていないため、イマイチはっきりとした本質が見えてきません。

 お金の本質を捉えるために、お金という概念が無かった時代を想像すると本質が見えてきます。


 例えば、2人しかいない無人島で、Aさんは果実を取る役目をし、Bさんは穀物を育てる役目をしていたとします。

 2人は物々交換で、果物と穀物を交換して生活をしていた場合、お金は必要ありません。

 しかし、果物が夏にしか取れず、穀物は秋にしか取れない場合はどうでしょうか。

 このときAさんとBさんの間で、商品の交換が成立するまでに2~3か月の時間差が生じます。

 夏に商品を保有しているAさんは、Bさんが秋になれば穀物と交換してくれるであろうという信用のもとで、Bさんから何も商品をもらっていなくても商品を手渡します。

 反対にBさんは、Aさんに穀物という商品を手渡していない状態で果物をもらうため負債を持つことになります。

 もし秋に穀物が取れなければ何らかをAさんに返さなければなりません。


 この2人の間には、『信用と負債』の関係が成立し、取引が行われます。


 では、2人ではなく商品も多岐に渡り時間差もそれぞれ複雑に絡み合った取引をしている10,000人住む島ならどうでしょうか。

 ここでは、AさんはBさんと、BさんはCさんと、CさんはDさんと・・・・・・・という風に複雑に絡み合った取引では、負債を数値化した共通の表示単位が必要になります。

 これが貨幣と呼ばれるものであります。


 つまり、負債の数値化、信用の数値化となります。


■ビジネスで利益を出すには

 お金は単に紙にインクを印刷したもであり、金属を加工したものであります。

 表示されている金額と同じ価値が、素材自体にはありません。

 硬貨が銀貨や金貨であれば別ですが、紙幣においてはただの紙とインクです。


 もし1万円という表示された価値に皆が信用しなくなり、1千円程度しか価値が無いと思うようになれば、価値は1/10になります。

 つまり、皆が価値があると思い込み、信用することで成り立っています。

 貨幣は信用が目に見えるように数値化された情報であり、信用を数値化したものそのものとも言えます。


 ビジネスにおいて売上が上がるということは、商品やサービスを信用してくれた証であり、利益を生むということは、商品を作り販売するときにかかるコスト以上の価値を信用して商品を買ってくれているというです。

 価値の無いものをあるように見せて暴利を得ようとすると、騙されているのではとの思考になり、信用を得る事ができずに顧客が離れ利益を上げることができなくなります。

 逆に皆が知っているブランドを作り上げることができれば、ブランドを信用してくれることで、商品にブランドという信用が更に加わり、通常より多くの利益を得る事ができます。

 ビジネスにおいて利益がでている状態は、信用が集まっている状態と言えます。

 言い換えると、信用を作る事がビジネスで利益を出すことと言えます。


■アメリカ進出で利益を出すには

 日本企業が米国に進出して初めて事業を行うということは、アメリカ国内においては新規開業と同じです。

 アメリカ進出したての企業は、米国内でブランド力がなく、全く信用が無い状態からスタートしなければなりません。


 この状態からスタートしてビジネスを徐々に構築するには、

①先にアメリカ国内で信用を上げている企業を伝って、その企業が関係しているアメリカ企業と信用を築いて徐々に営業をかけていく。

②日本製という品質の良さという世界に通用するブランド(信用)を使い、米国企業にOEM供給で商品を入れてもらうように営業をかけてゆく。

③アメリカにてビジネスしている米国企業とM&Aを行い、そのアメリカ企業の信用を使ってアメリカ市場に商品を展開する。

 というアメリカ進出はアメリカ市場での信用づくりです。


 ①は、相当な時間がかかります。時間がかかるということはコストもかかります。

 ②は、日本という信用を最大限武器に使えますが、アメリカ企業の製造下請けですので、利幅は少なくなります。

 ③は、短期間で米国ビジネスに入り込み信用を得やすいですが、初期投資金額が必要になります。

 実際、②で利幅はかなり少ないですが大量に生産することでアメリカビジネスを成功させる方法か、③のお金をかけて短期間に市場に入り込み利益を得る方法しかないと考えます。

 ここでいうアメリカビジネスの成功とは、数人の給与が支払える程度の小規模事業の利益創出ではなく、日本法人の利益を10%以上まかなう新規事業構築という意味です。


 現在、少品種大量生産の時代から、多品種少量生産の時代へと移り変わってきています。

 第2次情報革命で人々が相互に情報で繋がり、その結果さまざまな嗜好が生み出されは消え、ニーズは急激に多様化してます。

 また、第4次産業革命で各生産現場と多様なニーズがリンクして、人口知能が生産を補助するようになると、多品種少量生産計画も立てやすく、製造側が様々な要求に答えられるようになります。

 そうなると将来は、②で大幅な利益を上げることも困難になってくるかもしれません。


 ■信用を得るための第一歩は違和感を無くす

 日本でもアメリカでも同じことだと思いますが、違和感のある相手とは信用を築き難く、ビジネスを始めることも困難となります。

 話し方に違和感があったり、しぐさに違和感があったり、メールなどの文章に違和感があったりすると、ビジネスにおいて信用構築するときの抵抗力となります。

 そのため、アメリカ進出にてビジネスを構築するにはアメリカ人を活用しなければならないと考えます。


 そうではない考えの方もいるかと思います。

 アメリカで目新しい商品であれば必ず売れるという考えです。

 この場合、注目を浴びて米国で急激に商品が売れる可能性もあります。

 しかし、目新しさはいずれ消え、目新しさが無くなった後は、ビジネスにおいて違和感は残ったままです。


 また、日本人特有の良い商品を作れば必ず売れる、という考えもあります。

この場合、細部までこだわって作り込んだ商品の良さは、アメリカ人には理解できないかもしれません。

 そうすると、米国人は商品の価格に違和感を感じます。

 『なぜこんなに高いのか・・・』という違和感です。

 このことにおいても、アメリカ人スタッフを雇用して信頼関係をつくり、アメリカ人の忌憚なき意見を取り入れることで、失敗を事前に回避できるかもしれません。


 アメリカ人を雇い、異文化を把握しながら、根気よく教育していくことは困難な道のりです。日本人の雇用でも難しいところがありますが、アメリカ人ならなおのこと困難を極めます。

 

 以上の事を考えますと、米国人において最も違和感が無く、最も無駄な労力を省いた日本企業のアメリカ進出の方法は、M&Aかもしれません。

 M&Aは、お金という明確に数値化された信用を用いて、契約を結び提携する分かりやすい方法です。

 買収といったイメージが日本人にはありますが、アメリカでは普通の提携というイメージです。

 資本提携に限らず、営業提携もあれば、製造提携もあります。

結婚ではなく、お友達から始めましょうというアライアンス(戦略的提携)もM&Aの手法のひとつです。


 アメリカ企業が持っているブランド(評判資本)と、お金という金融資本を明確に数値換算で置き換える。

 アメリカ企業が持っているネットワーク(関係資本)と、お金という金融資本を明確に数値換算で置き換える。

 このことは、様々な人種や文化を持ったアメリカに進出する時に最も違和感のない手法かもしれません。

 

 お金で解決という日本人には違和感のある手法は、実はアメリカでは数値化されて明確に表現される最も違和感のない契約(信用構築)手法となります。

 

 日本人とアメリカ人という文化の違う環境で育った中で、言葉や文字で想いや考えをやり取りするより、数値という最も論理的な世界共通言語でやりとりする方が違和感のないのだと思います。


 信用=お金という本質から見ると、お金で信用を表現することは当たり前のことかもしれません。

 違和感のない方法で信用を得ることをすれば、アメリカ進出にてビジネスが成功できることでしょう。

M-Cross International Corporation Column

米国トーランス市に拠点を置くMCICが、米国進出のノウハウや独自の市場分析をコラム形式にて情報を掲載

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